「お客さまの目にどう触れるか」がEC戦略の鍵。

「6ヶ月で売上1.5倍」を実現した広告施策とは

  【写真左から】株式会社ウブン営業 番優仁 和平フレイズ株式会社EC企画課 伊藤健氏、梨本千ひろ氏、中野勉氏

今やあらゆる物がネットで購入できる時代。Amazonのように大規模なマーケットプレイスで売上を伸ばすためには、ユーザーのニーズに合わせた広告配信と、商品ページの見せ方への工夫が不可欠です。

約1万点の調理用品、キッチン雑貨を取り扱う和平フレイズ株式会社では、これまでAmazonでの商品管理をすべて内製化してきましたが、2019年4月よりウブンが手がけるAmazon広告運用のコンサルティングサービスを導入し、売上アップを実現。現在も売上をさらに最大化させるための戦略に日々力を注いでいます。

ウブンによる支援後に得られた成果と社内の変化について、和平フレイズ株式会社EC企画課の中野勉氏、伊藤健氏、梨本千ひろ氏に伺いました。(以下敬称略)また、ウブンの営業担当者である番優仁も同席し、これまでのお取り組みを一緒に振り返ってもらいました。


「どうすれば売れるようになるのかわからない」現状を打破するため外部支援を導入


―ウブンのサービス導入以前は、Amazonでの商品販売はどのような状況でしたか?

中野:Amazonに商品を登録してはいるものの、売れ行きは低調でした。ただ、当時は社内に広報部がなく、ECマーケティングの技術や知識があるメンバーもいなくて、明確な対策は立てられず、振り返りも充分にできていない-そんな状態が約1年続いていました。

梨本:当時からAmazonの担当者とやり取りはしていましたが、売上の共有がメインでした。ECマーケティングについて専門的な知識を持った人材も社内におらず、IDQ(Amazon内での商品ページ)もしっかり整理できていませんでした。「今、何をするべきか」の改善点を明確にしなければ売上アップは難しい状況でした。


―ECマーケティングの知見を得るために、外部にコンサル支援を依頼しようと考え始めたのですね。

中野:競合他社がどのように広告運用をしているのか、市場調査をしている時に、EC業界の展示会でウブンさんと出会ったんです。代表取締役の森岡さんと話すうちに「提案内容も魅力的で売上が上がりそうだ。安心して任せられる」と直感し、2019年4月から試験的に導入してみることになりました。

:ヒアリングを重ねて改善点を明らかにした上で、商品ごとにいかにユーザーに見てもらえる状態にするかの設計をメインに広告戦略を提案させていただきました。


カテゴリーの細分化で、ユーザーが商品にたどり着くための道筋を整備


―ウブンからの支援を受け始めて、どのような課題が見えてきましたか?

伊藤:カテゴリーを細かく分類させる必要性が明らかになりました。当時のカテゴリー分けはかなりざっくりしていて……「キッチン器具」と「アクセサリー」の2つくらいだったように記憶しています。

:和平フレイズさんが取り扱う商品数は約1万点。膨大な数にもかかわらず、カテゴリーの分類が不十分な印象でした。キッチン器具の中には、調理するためのフライパンもあれば、ご飯を配膳するためのしゃもじもあります。ユーザーが検索をした時に、商品にたどり着いてもらうためには、用途別のカテゴリーの分類を最適化しておくことが必要です。広告を打ち出す前段階として、キーワードが適切に広告とマッチできる構造にするため、商品カテゴリーやキーワード設定などの構成の見直しから始めました。

伊藤:キーワード検索の観点でも、「フライパン」とひとくくりにするのではなく「フライパン×軽い」「フライパン×洗いやすい」などのように、ユーザーの検索キーワードと表示させる商品がマッチするように細かく設定していきました。


―商品カテゴリーの仕分けだけでも、かなり大変だったのではないでしょうか?

伊藤:そうですね。でも、ウブンさんからの提案はいずれも「ユーザーの目にどう触れるか」を意識したものでした。これまでは「フライパンのダブルマーブル機能を押し出したい」など、メーカー目線に偏っていたように思います。ユーザー目線の訴求方法に改める良いきっかけにもなりました。

梨本:同時に、商品ページも大幅に改善したように思います。以前は「画像を1枚載せてスペックをまとめただけ」というシンプルな状態でしたが、タイトルや写真の見せ方など、効果的な訴求方法を教えてもらい、1つひとつ調整していきました。

商品画像の撮影も、ウブンさんからのアドバイスで「どのような画像が最適か」が明確になったため、現在では内製化できるようになりました。

:商品ページはいわば「接客の場」。リアル店舗でいうところの「売り場」なんです。そこでどれだけ商品をアピールできるかが大切になってきます。

ユーザーが興味を持って商品ページを訪れても、そこで魅力が伝わらなければ離脱してしまいます。和平フレイズさんの商品は、いずれも機能性が高くてリーズナブル。その訴求内容をどのようにページ内に落とし込むのかを、我々の知識や経験からお伝えしました。


UbunBASEを活用しモニタリングの頻度アップ。販売動向を見て広告運用をスピーディーに判断


―広告運用の面では、どのような対策を立てているのでしょうか?

中野:当初は「売れ筋商品」にしぼった広告運用をウブンさんに依頼していましたが、より多くの商品に触れてもらうきっかけを作るため、依頼する対象を「全商品」に拡大しています。

梨本:すべての商品に広告を適用しつつ、ピンポイントで「これを打ち出したい」と依頼することもあります。反対に、ウブンさん側から「この商品の広告を出しませんか」と提案を受けることもあります。

季節を意識したカテゴリーで広告を作っていただいた時も、出した途端にすごく反響があって。日々の販売状況から判断しての提案だったそうですが、改めて「安いから売れる」のではなく「お客さまの目にどう触れるか」が大事だと実感しました。その時々のユーザーニーズにマッチした提案がもらえるので、本当に助かっています。

中野:広告の効果が売上につながっているかのモニタリングも以前より頻度高く確認できるようになりました。ウブンさん提供の分析ツール「Ubun BASE(ウブンベース)」を活用し、販売動向をデイリーでチェックしています。販売動向を「毎日」手軽に確認できるようになり、広告運用への反映をスピーディーに行えるようになりました。

そうした積み重ねが、結果的に「和平フレイズ」というブランド力を高めることにもつながるのでは、と期待しています。

:「Ubun BASE」も効果的に活用いただき、ありがとうございます。

和平フレイズさんには「広告運用」のコンサルティングを提供させていただいておりますが、広告は売上を上げるための手段の1つとして捉えています。広告の費用対効果が改善しているかだけではなく、「売上を上げるための広告運用」をテーマに日々、施策のご提案をさせていただいています。

そのため、ユーザー目線での広告提案や「お客さまの目に触れてもらう」ためにどういう露出をしていくかの設計を重視しています。


動画広告やインフルエンサーマーケティングにも視野を広げ、さらなる売上アップを目指す


―さまざまな改善を経て、売上アップを実現したということですね。導入からの3年間を振り返ってどのような変化がありましたか?

中野:支援導入から半年で売上は1.5倍、3年で2倍になりました。非常にスムーズに成果を出すことができたと感じています。

Amazonに出品している事業者を対象としたアワードでは、売上の伸び率、広告運用などの観点から総合的に評価してもらい、2019年と2020年の連続で「最優秀賞」をいただきました。

また、会社側からの「広告投資」に対する見方も変わってきたように感じています。以前は広告費が売上にどう貢献するのかが理解されにくい状態だったのですが、ウブンさんとの取り組みで結果が出るようになってからは「広告に力を入れることで売上が伸びる」ということが、理解されるようになってきたと実感しています。


―会社全体に広告の投資対効果が浸透しているということですね。

伊藤:広告費への予算承認を得やすくなったり、新しい取り組みにも「やってみて」と言ってもらえたりするのは、実績を作ってきたからだと思います。

今ではSNSを活用したインフルエンサーマーケティングへの取り組みをスタートさせています。これまで会社が取り組んでこなかったフィールドですが、会社からの期待を背に感じながら進めています。

最先端のマーケティングに挑戦させてもらえることは、やりがいも大きく誇らしい気持ちです。

―SNSの活用以外にも、今後検討していることはありますか?

:Amazonでの広告運用において、数年前と異なるのが競合の予算感や入札戦略です。同じ検索キーワードでも競合との差別化を図るなど、広告運用の充実化を進めていかなければ埋もれてしまう恐れがあります。

今年からAmazonの検索結果に動画広告が出せるようになったので、和平フレイズさんでも動画を取り入れてみては、と提案しているところです。商品のクオリティーやコストパフォーマンスで優れている点を見せるには、やはり動画で見せるのが効果的です。

これまで同様、細やかなチューニングを継続しつつ、売上の起爆剤となるような新しい分野も検討いただいて、商品ページへのアクセスをさらに拡大していきたいですね。

中野:広告内容の拡充に伴い、社内体制の見直しも必要になってきました。動画広告の制作のため、専任担当をアサインする予定で調整中です。

この3年間、ウブンさんとのやり取りで「商品を売るための広告」の重要性を知ることができました。今後はその内容をより詰まったものにしていけるかが課題です。実店舗の売上もメディアに連動している部分があるため、ECに留まらず、総合的な観点で広告に力を入れ、会社全体を盛り上げていきたいと思います。

:広告支援は後方支援。地道で細かな調整が多いですが、売上とブランド力を押し上げていくための広告運用を今後もお手伝いさせていただけたら嬉しいです。

取材・文:佐藤有香 編集:五十嵐綾子(株式会社YOSCA)


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