【写真左から】ファンケル株式会社 通販営業本部 営業企画推進部 ECモール戦略推進グループ 松下竣哉氏、廣石亮一氏、園部弘貴氏
肌の調子を整える、無添加化粧品の製造販売で知られる株式会社ファンケル。「ファンケル化粧品」「アテニア化粧品」などを展開する化粧品関連事業と、「カロリミット」などのサプリメントを展開する健康食品関連事業を主力に、通信販売の売上が5割以上を占め、特にネット通販が大きな役割を果たしています。
EC分野のトップランナーである同社は、2022年4月から『Ubun BASE』※を活用。同社でAmazonモールを担当している廣石亮一さんは、『Ubun BASE』が新たな視点の発見や売り上げに貢献していると言います。その活用法について聞きました(以下敬称略)。
※Ubun BASEとは、ウブンが展開しているAmazonマーケティング支援ツールのこと
――ファンケルさんは1980年の創業当時から通販をされてきていますが、いつからAmazonでの販売を開始されたのですか? またウブンの『Ubun BASE』の利用を始めたきっかけも教えてください。
廣石:世界的にマーケットプレイスの利用が広がる中で、公式オンラインだけでなく、外部のネット通販での販売も行うようになり、Amazonでの販売を始めたのは2017年からです。
ECではレビューはとても大切なものだと認識していますが、Amazonはほかのモールと比べると、管理画面からレビューリクエストを送るのに少々手間がかかります。レビューリクエストの送信を自動化したいと思っていろいろ調べていく中で、『Ubun BASE』にたどり着きました。まずひかれたのは無料で使えることでした。無料なら1回やってみようと、資料請求のお問い合わせをさせていただきました。
番(ウブン担当者):2022年の春でしたね。あのときは、「ファンケルさんから直接お問い合わせをいただいた!」と感激したこと覚えています。『Ubun BASE』は、販売データ、広告データ、レビューやSEOのランキングなどを自動的に統合して、ASIN単位でAmazonマーケティングの分析を行うことができるソリューションになっています。現在β版として提供しており、全機能を無料で利用していただけます。
――実際に、導入されてみていかがでしたか。
廣石:レビューリクエストの自動化については、事前に設定した条件ですぐに実行できました。加えて、『Ubun BASE』はダッシュボードが魅力です。Amazonの管理画面は、商材ごとには見やすいのですが、時系列を見ようとすると、それぞれのデータを切り取ってダウンロードする必要がありました。以前は、自分の手元でエクセルを組んで、ASINをキーに広告効率はどうだったのか商品群でどうだったのかといったことを、月次で見られるようにしていたのですが、ダッシュボードでは時系列の推移が折れ線グラフで可視化されています。手間なく加工された形で見えているうえ、日次やアイテム別もボタン一つで切り替えられる、それが無料であることに感動しました。
番:カテゴリー分けも『Ubun BASE』なら、全体、ブランド、商品単位で見ていただけます。
廣石:そこも、便利に活用している点です。例えば弊社の薬用化粧液と乳液を展開する「エンリッチプラス」は、Amazonでは化粧液は化粧水カテゴリー、乳液は乳液・クリームカテゴリーで、別カテゴリーになってしまいます。「エンリッチプラス」としての動きを見たいときに、同じカテゴリーにしてチェックできる。自分たちのやりたい粒度でデータが得られるのでレポートが楽になりました。
作業時間を圧縮できたことで、新しいことができるようになったことが大きいですね。前月に比べて売り上げが増減した要因は何か、急に効率が悪くなったのはなぜだろうなど、分析、仮説付け、施策をして検証をしていくときに、データ作成の工数が少ないに越したことはないですし、『Ubun BASE』を使えばサクッと出てきます。
番:ファンケルさんはコンサル会社が入っていらっしゃると思いますが、『Ubun BASE』を活用した分析を社内でもされているのですね。
廣石:自分なりに担当者としての仮説を持ちたいですし、そこにコンサルの視点や、社内のマーケなどの視点が加わり突き合わせていくことで、自分だけでは気づけないものに行き当たります。お互いに高い熱量で意見を交わすことは、より効果的な施策を引き出し合うためにも大切なことだと思っています。
代理店さんやコンサルさんがいたとしても、多角的に見ることは大事ですし、『Ubun BASE』は様々な指標を掛け合わせて見られるツールですので、自分やコンサルも気づけない部分をツールが教えてくれることもあります。当事者として利用価値は大きいですね。
特に『Ubun BASE』は独自性のある分析レポートをつくられているので、発想や視点の新たな引き出しが生まれます。
――新たな引き出しが生まれた事例について、よろしければ教えてください。
廣石:弊社の場合、商品数が多いので、手をかけてあげれば伸びるはずの商品であっても、なかなか手をかけ切れていないことがあります。スライドレポート機能内の「Total ACOS分析」は、そうした伸びる商品への気づきになっています。
※『Ubun BASE』分析図サンプル
広告ROASは高いがTotal ACOSが低い=広告費を今はかけていないが実は効率がいい商品群には、広告費をかけてみて、全体売上が増加するか、しないかをテストできます。
実際、1年半ほど前にCMを久しぶりに行った際に、Total ACOS分析で気になっていたサプリメント「えんきん」を仕掛けたところ、大きく飛躍しました。「えんきん」は、今ではランキング上位の商品になっています。
番:レポートは、もともと社内のコンサルティングサービスをサポートするためのツールとして開発しているものですので、そうやって活用していただけるのは大変ありがたいことです。
廣石:『Ubun BASE』はスピード感も特徴ですね。Open AIの人工知能「ChatGPT」を利用したレビュー分析も導入が早かったです。生成AIが話題になってきたものの、世間的には、実際のビジネスでどう使われていくのだろうという段階でしたから。分析内容は同じ部署内の楽天市場やYahoo!ショッピングの担当者にも、共有させてもらいました。
世の中が動いたタイミングでのスピード感のある実装が素晴らしいですよね。
番:先日リリース※させて頂きましたが、Open AI社が提供する最新の軽量型高性能LLM「GPT-4o mini」に対応し、月の利用上限も3回→20回と大幅に増加する機能アップデートをさせて頂きました。さらに商品のレビュー分析ができるようになります。
※参考リリース| 『Ubun BASE』のレビュー分析機能に最新の軽量型高性能LLM「GPT-4o mini」が対応https://www.ubun.co.jp/ubunbase-gpt-4o-mini
廣石:もう一つ、私が良く見ているのが、新たに導入された「定期便売上レポート」です。消費財は1回の購入だけでは費用対効果が出ないので、定期は重要な指標になります。この商品は、もっと定期比率を上げていけないか、あるいは逆に定期比率が高すぎる商品について広告投資をして都度購入比率を上げてはどうかなど、適正なバランスを考えていくうえで役立っています。
現状から気づきを得て正しいうち手を打つには、精度もスピード感も大事です。Amazonは管理画面もAPIもどんどん変わっていきますが、ウブンさんが素早く対応してくれるので、限られたリソースの中で、レポートを作る作業ではなく、考察したり、打ち手を考え実行したりするほうに力点を置くことができます。
今後欲しいと思っているのは、消費財の継続レポートですね。どういうお客様が継続してご購入くださっているのか可視化できれば、そうしたお客様に優先的に広告投資をしたり、購入スパンがバラバラな方やスキップがある方はどんな理由なのか、推測して仮説をたてたりできればと思います。
番:『Ubun BASE』のアカウントにAMCを連携させていただければ、広告で接触しているユーザーのリピート分析や、RFM分析などが見られ、その推移をモニタリングすることができるようになりました。こちらもぜひご活用ください。
――今後、Amazonモールを通じて、ご担当者としてどんなことにチャレンジしていきたいですか?
廣石:担当しているAmazon チャネルで認知層までアプローチし、Amazon発のスター商品を育てていきたいですね。認知層である将来のお客様に情報を届けて、魅力的だと思っていただき買っていただいて、ファンになっていただきたい。例えば、いい商品にもかかわらず売れない商品を知ってもらうために、ファンになってくれそうなお客様に絞って広告を届けチャネルからのばしていく、そうしたことができれば、Amazonでテストマーケティングなども可能になっていくと思っています。
番:直近リリースしたブランドレポートがお役に立つかもしれません。特定のユーザーに対するリーチカバレッジを、『Ubun BASE』でデイリー更新されたデータを見ることができます。また、Amazonの広告の接触者と非接触者でどれぐらい注文率が違いなども、分析することが可能になっております。
廣石:リテールデータがみられるということですね。楽しみです。私たちが欲しいデータに対して、スピード感を持ってアプローチされていますし、私たちがまだ使いこなせてない機能もあるので、その辺もぜひいろいろ教えてもらえればと思います。