【写真左から】株式会社バスクリン 吉田様、金村様、今西様
株式会社バスクリンは、1897年に日本初の入浴剤を発売した津村順天堂(現 株式会社ツムラ)を起源に持ち、たゆまぬ研究による製品開発で「バスクリン」「きき湯」「日本の名湯」などのブランドを展開し、入浴剤市場でトップクラスのシェアを誇っています。また、育毛剤やボディソープなども幅広く手掛けています。
EC分野にもいち早く取り組んできた同社は、2021年から株式会社ウブンとともにAmazonのマーケティング戦略に取り組み、課題としていた利益率の大幅改善を実現しました。
今回は、バスクリンのマーケティング本部の今西宣行氏、吉田茉由氏、金村梨沙氏と、ウブンの大橋洋斗、熊谷勇気にこれまでの取り組みとその成果について聞きました(以下、敬称略)。
――バスクリンさんは入浴剤だけでも約100種類と豊富なラインナップをお持ちです。いつからEC販売に取り組み始めたのですか?またウブンが支援するようになったきっかけを教えてください。
今西:Amazonでの販売を開始したのは、15年ほど前です。当時は、EC市場も今ほど大きくなく、かなり早い段階から参入していました。ウブンさんとのお付き合いは、2021年からです。さまざまな販売チャネルの中で、Amazonでの売り上げ比率が高まり、より本格的にアクセルを踏もうという時期でした。合わせて、新たにAmazonでのセラー事業への参入を決めており、未経験の領域への挑戦には支援が必要と考えていました。
複数のサービスを検討したのですが、ウブンさんは「未来へ向けてどう売り上げを構築していくのか」という戦略が非常に明確でした。数字をきちんと提示して、どのカテゴリーにどう参入し、一定のポジションを築いたうえで、次の段階に進むというところまで具体的に説明していただけました。Amazonでのベンダー事業についても、どうすればより良いビジネスになっていくのかを考える時期でしたから、セラー事業とあわせてウブンさんにお願いすることに決めました。
――より良いビジネスにしていきたいとは、具体的な課題感や、数値目標をお持ちだったのですか。
今西:Amazonでの売上は順調に拡大していたものの、利益構造には課題があり、成長の踊り場に差し掛かっている状況でした。売り上げが拡大しても、ブランド価値を損なうような値引き中心の販促に依存するのは、メーカーとしては本意ではありません。特にこの2年ほどはその課題が大きかったですね。
ウブンさんは多くの経験をお持ちなので、どういった視点で課題分析し、どのような優先順位で数字(指標)を見るべきか具体的にご提案をいただけました。例えば「こういうテストをしたらこういうデータが見えてくるので、次はどう踏み込んでいく」といった形で、常にPDCAを回しながら改善を進めていったイメージですね。
吉田:プロモーションコストの分析についても、細やかに見ていただいていると感じています。ブランドごとの投資についても、それぞれにどの程度コストを使っているのか、運用は効率的なのかまで見ていただけていると感じています。具体的に「ここは投資しすぎでは」「ここはさらに投資すれば成長が見込めます」といったご提案をいただけるのがありがたいです。メーカーとは異なる視点でアドバイスいただくことで、成長機会につながっています。
金村:以前は、広告運用のみ別の代理店にお願いしていましたが、ウブンさんにお願いしてからは広告だけでなく、販促全体や売り上げの進捗まで追っていいただけるようになったので、各ブランドの状況に応じて、より精緻な広告運用が可能になりました。
今西:メーカーとして投資できる資源には限界があることを前提に、広告パフォーマンスと売上パフォーマンスの両面から最も効率的な手法を一緒に模索していただき、月次での定例会を重ねながら、成果を積み上げています。
大橋:ウブンとしては、いろいろとご相談いただけることで、私たちにできるご支援や気づいていなかったサービス分野を考えるきっかけをいただいています。利益改善については、バスクリンさんはいち早く課題感をお持ちでした。
吉田:特に2023年は投資するほど売り上げも増え、中でもAmazonでの売り上げは拡大していたのですが、利益はそれに反比例していました。
今西:我々メーカーにとって「健全なビジネスとは一体何なんだろう」という言葉をよく口にしていた気がします。2024年は私たちが持つ理想にどうすれば近づけるのかを、日々探っていました。
熊谷:侃々諤々の討議を何度もしましたね。
吉田:社内会議にも同席いただき、方向性や施策についてご説明いただいたこともありました。
熊谷:セールのエントリー情報や定期便への投資状況など、さまざまなデータをバスクリン様より共有いただけたので、余計な投資は控え、必要なところに投資し、適正な投資で売り上げを作っていきましょうという提案をご理解いただけました。
今西:過剰投資になりがちだった流れに対して、施策に応じた適切な軌道修正ができ、その結果、24年下期には目標に近い水準まで大きく利益改善することができました。メーカーとしては、将来の売り上げ、利益の拡大やブランドの育成を進める一方で、足元の数字も見なければなりません。それを両立しながら、足元でも利益を作っていけたことはすごくありがたいステップでした。
――データ活用やウブンのサポートで感じていることを教えてください。
金村:広告運用では『Ubun BASE(ウブンベース)』を活用し、週次でデータを確認しています。RAWデータも自由に落とせますし、パワーポイントやエクセルなどの形式でもダウンロードできるので社内報告に活用しています。ぱっとビジュアルでチェックしたいときにも、グラフで直感的に理解できるので、状況に応じて使い分けながら、データをオンタイムで追っています。
吉田:データに基づいて「定期購入が効果的なブランド」「単発購入が適しているブランド」「新規顧客獲得重視のブランド」「既存顧客維持重視のブランド」など、さまざまな見方をご提示いただいています。それらを参考にして、戦略を立てながら進められるようになってきました。
マーケティング視点でのモニタリングや分析をわかりやすく出してくださるので、業務の効率化にもなっています。社内からの突発的な問い合わせに対しても、すみやかにデータを提示して説明できるという点でも、とても助かっています。
金村:プライムデーの広告運用でも、先行セールの段階からどう予算配分していけばいいか事前にすり合わせができるので、安心してお任せできます。
熊谷:これまでショッピングインサイトで取れたリピートデータは1年間分でしたが、25年から5年分のデータを取れるようになったので、昨冬の入浴剤購入者が今年も購入してくれるのかといった、長期的な顧客行動の把握が可能になりました。より商品特性に合った、踏み込んだデータ分析が可能になっていきます。
――今後の展望やウブンに期待することを教えてください。
今西:弊社には「ブランドを育成する」という点において、まだまだやれていない事が沢山あります。戦略的にも弱い所があると感じています。新しいブランドを育成することから、すでに認知度があるブランドをさらに成長させていくことまで、ウブンさんとともに取り組んでいければ、それぞれのブランドが新しい形で進化できるのではないかと期待しています。
EC業態とリアル業態を含めて、お客さまの購買行動は、ますます複雑化・多様化してきています。だからこそ、その膨大な購買データをどう整理し取捨選択していくのかが重要です。その中で「今のお客さまが何を望んでいるのか」「お客さまに対して、次にどんなご提案ができるのか」を考えていくことがメーカーの仕事だと思っています。そうした取り組みをこれからもウブンさんと一緒に進めながら、新しいマーケティング戦略を構築していければいいですね。
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